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未完

ネモとペパーの話

SVをめちゃくちゃやってた時に書こうと思っていた話です。

 自分にとっての宝物、とはなんだろうと、毎回この時期になると思う。宝探しといえど明確な宝があるわけではなく、自分の中でそれを見つけるのがこの授業の目的だ。
 ポケモンバトルが好きだ。大切に育ててきたポケモンを繰り出し、同じように育てられてきたポケモンと戦う。窮地に陥れば陥るほどそこからどう逆転するか考え血潮がたぎった。もっともっと戦いたい、もっともっと様々なトレーナーと出会いたい、そう思って突き進んでいたらいつの間にか「チャンピオンランク」なんて称号を手に入れた。それはとても名誉なことではあるのだろうけど、どうしても自分にとってはただの称号としか思えず、宝物たりうるだけの感情を持つことができなかった。
 けれど他人にとってはそうではなかったようで、バトルしようと声をかけても自分と戦ってくれるものは少なくなった。
「チャンピオン様に勝てるわけがない」
 そう苦く笑って立ち去ってしまうのだ。
 その背中を見ながら、初めて自分の心に欲しいものが生まれた。
 戦いあってお互いの技術や知識を高められる誰か、バトルの最中に心が震え踊るような誰か、自分の隣に立ってくれる誰か。
 そんな人がいたら、きっとその人は私にとっての宝物になるのだろう。