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classy dress!

こちらは成人向け小説です。
18歳未満の方の閲覧は固くお断り致します。

白衣装を着て、鏡の前で触れ合う話。
あそこをあけようと考えた方天才だと思います。

 開きっぱなしの窓から入ってくる風の温度は少し冷たくなっていて、鍵を閉めるついでに見た空はすっかり茜色に染まっていた。久しぶりに会って積もる話に花を咲かせた友人たちも、祭典が終われば楽しかった時間を名残惜しく思いながら帰途に着く。
 傍から聞けば笑われてしまうような話かもしれないのだが、その光景を見ていると、それぞれに帰る場所があるということを実感できて胸の奥がじんわりと温かくなった。きっと留守を任せていた仲間に今日の思い出を話すのだろう。シオンもまたこの場にいない自分の仲間の顔を思い出し、帰ったら何を話そうかと思考を巡らせた。
「アルフェン。私たちもそろそろ帰りましょうか」
「そうだな。久しぶりに皆と話せて楽しかったよ」
「ええ。私も楽しかったわ。この衣装もとても可愛くて、着替えてしまうのが勿体無いくらい」
 シオンが翻るとセミショート丈のスカートがふわりと揺れる。祭典のために用意された服には繊細な刺繍が施されておりそれだけでも上品な代物なのに、ピンクのグラデーションが入ったストールを合わせるととても華やかになる。普段と異なる装いは気分までも明るくし、一日中どこか浮ついた心持ちだった。
「そうだ。帰る前に、その衣装をよくみてもいいか?」
「え?」
 帰り支度を始めているとふと声をかけられる。荷物をまとめて置いていた控室には二人が並んで座っても余裕があるほどの大きなソファがあり、アルフェンはそこに座ってシオンを呼んだ。
 確かに祭典前は男女別の更衣室で準備をしており、式の最中もお互いの服をじっくり見る機会はなかった。シオンとていつもと雰囲気の異なる恋人をもっとよく見たいという気持ちはあったが、それは帰ったあとじっくりと見るのでも良いかと思っていた。けれど、彼はそうではないようだ。
「おいで」
 シオンを甘やかすように優しく呼ぶ声に抗えるはずもなく、言われるがままアルフェンの隣に腰掛ける。二人には十分すぎるほど広い部屋だというのに、同じソファに座って見つめあっているものだから急に恥ずかしく思えてきてしまった。先ほどまで話していた仲間たちの足音が薄っすら聞こえては通りすぎてゆき、ドア一枚隔てて他人がそこにいるのだと思うとなんだかいけないことをしているような気分になった。
「ア、アルフェン……」
「とても似合ってる。可愛いよシオン」
 こちらの当惑をよそにアルフェンは瞳にシオンだけを映してそう言うものだから、聞いているこっちが照れてしまう。いつもと違う髪型で赤くなった耳は隠せても、紅潮した頬までは隠せない。
 照れくさくて視線をそらした先には身なりを確認するための大きな姿見があった。そこにはひとつのソファの上で相手の姿を見つめ合う自分達の姿が映っている。アルフェンの眼差しは真剣そのものだった。
「髪も三つ編みにしているんだな」
「そう。クレアに結ってもらったの」
「シオンは何でも似合うな」
 そう言ってアルフェンはシオンの髪を大事そうに手に取る。黒いグローブをはめて風雅な口づけをする姿は、まるで姫にかしずく騎士のようにも見えた。
「綺麗だ」
 ドア一枚隔てただけの二人だけの空間で、こんなにも愛に溢れた言葉をかけられている。それだけでシオンの心臓はどくどくと強く脈打つのだ。
「あなた、も、素敵よっ……!」
 もっと丁寧に批評するつもりだったのに、すっかりアルフェンのペースに飲まれてしまっていた。髪を楽しそうにいじる指先はグローブに隠されてしまっていて、その下の無骨な指で自分の素肌に触れてほしいという思いが芽生える。
「ここも、空いているんだな」
 そうしてアルフェンはちょうど胸の下にある、布地で隠されていない部分に指先をおいた。彼に指摘されるまでは意識していなかったのに、見られていることがわかるとやたらとそこが気になってしまう。肌を見せている面積は小さいはずなのに、アルフェンの目はシオンの全てを見透かしているようだった。
 シオンを抱き抱えるように左手が腰のあたりまで伸びてくるが、布地越しの熱はもどかしくそれ以上を求めてしまう。
「ここ、触っていいか?」
 耳元で囁かれる声は甘く、シオンの心を絡め取り離さない。
 アルフェンはいつもそうだ。答えはすでに彼の中で決まっているのに、それでもシオンに選ばせる。そんな彼をずるいと思いつつも、自分も彼と同じ思いを抱いているのだから言い返すことはできなかった。
 言葉で返事するのは憚られたため、代わりに小さく頷くと腰を支える左手に少しだけ力が籠る。それだけでシオンの身体は彼からの刺激を求めて熱くなってしまっていた。変わってしまった自分の身体が恥ずかしくて仕方ないが、アルフェンから与えられる快楽の心地よさには抗えない。
 グローブ越しにアルフェンの指がシオンに触れる。薄い布一枚を間に挟んでいるだけなのに、いつものアルフェンの指とは違い触覚が敏感になってしまう。
「や、んっ。アルフェン、手袋……」
「嫌か?」
 嫌ではないのだ。けれどそれ以上にもどかしくて仕方ない。もっと直接触れあって、二人の境界がなくなるくらい混じりあいたい。
「あなたの指で感じたいの……!」
「……クソっ。煽ったのはシオンだからな」
 アルフェンはそう言うと、グローブを取る時間すら惜しいのか歯でそれを噛んで乱雑に外す。
 その仕草はまるで飢えた獣が久しぶりの食事にありつく時の姿のようで、どくんと心臓が一際強く跳ねた。これから自分はギラギラと欲を宿した目の恋人に愛されながら食べられるのだ。快楽を教え込まれた身体はそれだけでじわりと蜜を生み始める。
 再びアルフェンの指が服の隙間から入り込み、素肌を優しく撫でる。息遣いから今すぐにでも本能のまま欲を吐き出したいのかもしれないと思ったが、アルフェンはいつだってシオンを気遣い傷つけないように触れてくれる。その優しさを嬉しく思いつつも我慢を強いてしまっていることが気がかりだった。
 口付けをするたびに体温と唾液が混ざり合い、耳には吐息と水音しか届かない。その扇情的なさまにひどく興奮してしまう。
 肌を撫で胸を揉まれるのは気持ちいいが登り詰めるまでにはまだ遠く、痛いほど張り詰めている胸の突起をいじって欲しかった。けれどアルフェンはわざとそこを避けるように触るものだから、行き場のない熱が溜まっていく一方で苦しい。
 もっともっと快楽に溺れたい身体は自然と内腿を擦り合わせていて、こんな自分をはしたないと思うのに、止められるだけの理性はもう持ち合わせていない。
 アルフェンはそんなシオンを見ると、つんと突起に優しく触れたのちくりくりと指先で突起を転がし始めた。
「んんっ! 気持ちいいっ……!」
 待ちわびていた刺激により熱を伴った快楽がぞくぞくと身体中を駆け巡る。思わず背中が反ってしまいアルフェンの胸に身体を預けると、アルフェンはシオンを優しく抱きとめ腹の奥を揺らすような心地よい低音で呟く。
「ちゃんと言えて偉いな。いい子だ」
 たったこれだけの愛撫でこんなにも感じてしまう自分が恥ずかしくてたまらないのに、優しく額に口付けられるとこんな自分を肯定してもらえたようで安心してしまう。溺れてしまっているのに、快楽の海から出ることはもうできなかった。
 アルフェンはシオンの大腿の上に手を乗せると、確かな意思をもってゆっくりと撫であげ下腹部に触れる。上質な布地を介して伝わってくるアルフェンの手はとても熱い。
「こっちもいいか?」
「だ、だめっ……! まだ外に人がいるかもしれないのに……!」
「……そうか」
 最後の理性が歯止めを掛けた。しかしシオンの言葉によりアルフェンの手が離れていくとすぐに寂しくなってしまう。もうすでに足の間からは蜜がとろとろ溢れてきてしまっているのだ。自分で制止させたくせに、ここでやめられてしまうのは嫌だ。
「アル、フェン」
 腕の中に抱かれながら、涙に濡れた瞳でアルフェンを見つめる。先ほどアルフェンはなんてずるい男なんだろうと思ったが、それは自分も同じだった。嫌と口では言っておきながら、身体も心も彼に抱かれたくて仕方ないのだ。羞恥心に駆られながらアルフェンの服をきゅっとつかむ。かすれた声で、縋るようにアルフェンの瞳を見ながらシオンは言った。
「お願い、やめないで……っ!」
 アルフェンの喉がごくりとなる。束の間の沈黙のあと、ひどく落ち着いた声で彼は言った。
「――わかった」
 くいと顎を持ち上げられると、やや性急に唇を割り開かれ舌が絡み合う。脳内は靄がかかったようにぼんやりしていてもっと溶け合いたいと思ったが、シオンの意に反してアルフェンは離れてしまう。
「あっ……」
 シオンを包んでいた心地よい靄は晴れてしまい、肌を撫でる風が寂しさを助長させる。もう一度唇を重ねたいと思い手を伸ばすと優しく受け止められ、そのまま銀髪の騎士は恭しく自分を導く。
「シオン、ここに座って。そして前を見てくれ」
「前……?」
 言われるがまま身体を動かしアルフェンの足の間に腰を下ろすと、自然と身体が密着し彼の昂りが背中に触れるのが分かった。杭を欲しがる秘部はひくひくと収縮していて、受け入れるには十分すぎるほどの蜜を生む。
 言われた方へ視線を向けた先の壁には身だしなみを確認する目的で置かれている姿見があった。そこには上品な衣装を乱し、紅潮した顔で続きを待ち望んでいる自分がはっきりと映っている。
「こ、これ……!」
「よく見えるな」
「やっ、こんなの、恥ずかしい……!」
 たとえ顔を背けても自分のあられもない姿が映っていて、それをアルフェンに見られていると思うと顔が真っ赤になってしまう。日は傾いてきており明かりをつけていない部屋の中の光量は十分ではないとはいえ、溶けきった表情が鮮明にわかるのだ。
「綺麗だよ、シオン」
 アルフェンは後ろからシオンを抱き締め、耳を甘く噛んだ。聴覚までもが敏感になっていて耳を舌でいじる水音が頭の中を支配する。スカートの裾をたくしあげられ、剥き出しの足を爪先から内腿に向けて撫でられると身体がびくびくと喜んだ。
「正直、こんなに足が出ていて気が気じゃなかったよ」
「誰も、見てないわよっ……」
「そんなことない。俺は見てたし、こんな風に触りたくて仕方なかった」
 すっかり役目を果していないスカートをさらに捲られる。下着を見られることも恥ずかしいが、それ以上に見せられない理由があるのだ。だって、自分の身体はすでにこんなにも――
「……濡れてる」
「やっ……! だって、んっ……!」
 アルフェンの指がシオンの下着に触れ、すでにぐっしょり濡れた布地を上下に擦る。待ち望んでいたアルフェンからの刺激はひどく気持ちがよくて、口を押さえても湿度を孕んだ吐息が漏れてしまう。
 無骨な指は湿り気のせいでぺったりと張り付き、布の上からも容易にわかる割れ目を指先でなぞった。触れられるたびに熱がどんどん集まり花芯はぷっくりと膨らんでいく。
「やっ。ん、ふぅっ……! んんっ」
 下着を横にずらし、露になった蜜壺にアルフェンの中指が飲まれていく。その指先をすこし曲げられただけで膣壁は収縮し中のものを締め付ける。とめどなく溢れ出す蜜がソファを汚していないか心配なのに、気持ちよさに溺れてしまい抜け出せない。
「シオン。鏡見て」
 涙で滲んだ視界の先には、綺麗な衣装をぐちゃぐちゃにしてアルフェンからの刺激一つ一つに反応する自分の姿。恥ずかしくて仕方ないのに、正直な身体はこの状況に興奮してしまっているようで、全身はほんのり赤くなり花が咲いているようだった。
「シオンはえっちだな」
「あなたの、せい、なんだから……!」
 人に触れることすら知らなかったのに、アルフェンと夜を過ごすたびに気持ちの良いことを覚えてしまい、いつしかそれを求めてやまない身体になってしまった。いまでさえ羞恥心でいっぱいなのにやめて欲しくはなく、ひくひくと疼いている場所を埋めてほしくて仕方ない。
「そっか。それじゃあ責任取らないとな。……俺も、そろそろ限界だ。シオンにいれたくてたまらない。――いいか?」
 背中に触れるアルフェンの屹立はどくどく脈打っていて、硬く張りつめたそれはとても苦しそうだ。息遣いも荒く必死に欲を押さえ込みながら、それでもシオンの気持ちを確認してくれる。
 誰かが入ってきてもおかしくないこんな場所で、鏡に全てを映しながら抱かれる。そんな状況に興奮してしまっているのは彼だけではなかった。
「私も、アルフェンが欲しい……!」
「……ああ」
 アルフェンはシオンの言葉を聞き届けると、下着に指をかけ丁寧に外していく。衣装に合うようにと選んだいつもと趣向の異なるそれはぐっしょりと濡れており、足から離れるときに銀糸が伝っているのが見えた。
 アルフェンはズボンを緩め、押し込まれ続けたものを解放する。天井にむけそそり立ちながら、透明な先走りが血管を伝って垂れていた。首筋にあたる荒い呼吸に心を震わせながら、シオンの背中とアルフェンの胸が触れ合い、再び身体が密着する。
「スカート、持ち上げて」
 そんなことは自分で秘部を鏡にさらすのと同義だ。けれどひくひくと疼いて仕方ない場所を慰めるにはそうするしか方法がなかった。
 震える手でスカートを持ち上げる。心臓がうるさくて仕方ない。早く入ってきてほしい。いい子に待っていた秘部にご褒美を与えてほしい。
 暴力的なまでに膨らんだ鈴口があてられ、ぬるぬるとお互いの体液を混ぜ合わせるように動き、これからこの大きさのものが入ることを伝える。
「いれるぞ」
 シオンが頷くとアルフェンの腰が動き、屹立がずぷずぷと肉壁をかき分けながら入り込んでくる。甘く痺れるような快楽が脳天まで一気にかけあがり、自分のものとは思えないほどの甲高く切ない声が漏れた。
「やあっ! んんんっ……! おっきい……!」
「……くっ。締め付けが、すごいなっ……!」
 待ち望んでいた快楽を必死に引き寄せるように、膣壁はどくどく脈打ちながら昂りを受け入れていく。全てが腹のなかにおさまると、気持ちよさに喘ぐシオンとは反対に鏡に映るアルフェンは眉間に皺をよせていて、今にでも中をかき回したい気持ちを必死に理性で押し止めているようだった。
「シオンの中、すごいな……」
「や、んっ……!」
 何をいっても艶めかしい喘ぎ声にしかならない。アルフェンのものが馴染んできてやっと呼吸ができそうだと思ったとき、ずん、と子宮の奥深くを突かれ一際高い声が出てしまう。
 アルフェンの腰が動くたびにシオンの身体は跳ね、汗と体液で濡れた肌がてらてらと光る。ぐちゅぐちゅと音をたてながら自分の蜜壺を出入りする昂りがはっきりと鏡に映っており、まるで視界からも犯されているようだった。
「んっ。ふぅっ。あんっ……!」
 肉壁を擦りながら抜かれ、自重によって再び奥深くまで入り込む。濡れた肌を打ち付けあう音と衣擦れと、そして自分が漏らす喘ぎ声とで部屋はいっぱいになる。
 お願い、誰も入ってこないで。恥ずかしくてたまらないのに、それを気持ちよく感じてしまっている自分がいる。こんなにはしたない自分をアルフェンは嫌いになってしまうだろうかと思ったが、シオンの気持ちを察したのか、アルフェンは愛の言葉を囁きながら首筋に口づけをおとす。生理的なものかそれともその行動が嬉しかったのか、シオンの目頭からは涙が一滴ぽろりと落ちた。
「きもち、いいっ……!」
「はっ……。どろどろだ」
 アルフェンの言葉一つ一つに反応し、膣壁が昂ぶりを締め付ける。あんなに綺麗な衣装だと思っていたのに、今やレースが見えなくなるほどスカートはたくしあげられており、上質な布地は自分が吐き出した蜜で色が変わっている。
 数時間前正しい用途で使っていた姿見には、秘部に杭を打ち込まれて喘ぐ自分の姿が映っていて、もうすっかり興奮を助長するための道具と化してしまっている。
 肌を重ねあい、身体の奥深くまで埋められるたびに快楽がかけぬけていく。これ以上気持ちよくなってしまったらどうなってしまうのかわからない。
 瞬間、アルフェンものが子宮の入口にキスをして、休むことなくぐちゅぐちゅと中をかき回していく。
「――んんっ!」
 気持ちのよいところを突かれた。アルフェンもシオンの様子からそれがわかったのか、それとも度重なる交わりのなかでシオンのよい場所などすでに把握しているのか、しつこいくらいに切っ先をそこに当てて擦り付ける。これ以上ないと思っていたはずなのに、アルフェンのものはどんどん熱も大きさも増していった。
「だめ、やっ。そこっ……! イっちゃう……、イっちゃうからぁ!」
「いいよ。一緒に、イこう」
「あっ! やっ! んんんっ!」
「くっ……!」
 アルフェンから許しをもらった直後、シオンの身体は絶頂に達しぴくぴくと痙攣しながら意識が飛びそうなほどの快楽を全身で受け止める。アルフェンもまたシオンの中に欲をすべて吐き出すと、膣壁はそれを一滴も溢さないように何度も収縮を繰り返した。
「はぁっ……。はぁっ……。大丈夫か? シオン」
 肩が上下するほどの呼吸が落ち着くと腰を引かれ、栓がなくなった蜜壺からは白濁した愛液がとろりと流れ出した。
 鏡に映るのは身に付けているものをすべて乱しぐしゃぐしゃになった自分の姿。けれどアルフェンはそんなシオンを抱きしめて口づけをする。
「可愛かったよシオン」
 もう。そんな顔で言われたら、なにも言えないじゃない。
 愛しい人に手をのばして、今度はシオンから唇を重ねる。まどろみにつつまれ意識を手放す時まで、アルフェンの瞳はずっとシオンを見つめていた。
 
 ソファの上で目が覚めると、部屋には明かりが灯されていて、開いたばかりの瞳に光りが入り込み少し眩しかった。ゆっくり上体を起こすと、何かを纏っていると気が付くと同時に、先ほどまでの行為を思い出し顔が熱くなる。
 アルフェンが整えてくれたのか、シオンはここに来るまでに着ていた私服を身に着けていて、身体のべたつきもある程度なくなっていた。しかし身体を動かすと拭いきれなかった愛液の残りが溢れてくるような感覚がして再び顔を赤くする。
「起きたか?」
「私……寝てしまっていたのね」
「どうやら残ってるのは俺たちだけみたいだ」
 どのくらい寝ていたか定かではないが、すっかり日が沈んでいるところを見るにそれなりに時間が経っているのだろう。
 気を使ってくれたのだと理解しているが、自分が寝ている間にあちこちまで見られてしまったのだと思うと恥ずかしい。けれどそれよりもっとすごいことをこの部屋でしていたのだ。
「そ、そう。色々ありがとう。帰りましょうか」
 そうしてシオンはアルフェンがまとめてくれた荷物を手に取り歩き出す。袋の口が少し開いていて、そこから自分が来ていた礼服がちらりと見えた。
「もうこの服は着られないわね……」
「そうか?」
「そうよ! だって――」
 貴方との交わりを思いだすものになってしまったのだから。そう答えることはせず、ぷいとそっぽを向く。その先にあった姿見にはわざとらしく唇を尖らす自分の姿が映っていて、思わず笑みがこぼれてしまった。