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アルシオオンリー 新刊サンプル

こちらは成人向け小説です。
18歳未満の方の閲覧は固くお断り致します。

12/18追記:boothにて通販を始めました!

12/18追記:
boothにて通販を始めました! https://asagiiro.booth.pm/items/5348905

◆2023/12/17、アルシオオンリーにて発行予定の新刊サンプルです!

◇きみと過ごすさんろくご!
◇南4ム31b 「あさぎいろ」
◇文庫サイズ/142P/800円(予定)/R-18
◇大学生パロ小説

◇アルフェンの運転・喫煙描写があります。ご了承ください。
◇頒布時、年齢確認を行います。ご協力をお願い致します。

◆素敵なイラストはうすでさん【@usususui】です! ありがとうございました!

表紙デザインもやったんですけど、いい感じにできた気がするのでぜひ見てやってください~!
以下、本文サンプルです。R-18要素も含みます。

プロローグ
春の話
夏の話
R-18部分

プロローグ

 春という季節は自然と心が浮き立ち、新しいことを始めたくなる季節だと言われている。満開の桜の下で人々は足を止め、その見事な姿をスマートフォンのシャッターに収めていた。
 空気はまだどこかに冷たさを隠しており、風が吹くとそれがほんの少し顔をのぞかせる。けれど明るい声もそこかしこで上がっており、寒さなんてすぐに忘れてしまう。
 今まで毎日制服であったため、服装選びに迷うと言っても上着を羽織るかマフラーをつけるかくらいだったが、今日からは毎日私服なのだ。おしゃれが好きなシオンにとってそれは楽しみの一つであるのに対し、恋人にとっては億劫なものであるらしく、制服があったほうが楽でいいと話していたことを思い出す。
 入学式を終えた後の最初の私服の日は、しっかりアイロンをかけたシャツに、パステルピンクのフレアロングスカート。お気に入りの服を着ると自然と心も上向きになり、その綺麗なスカートに似合うように背筋を伸ばして歩いていく。
 シオン・アイメリスは大学生になったのだ。

春の話

 テーブルとソファを置いてもまだ余裕のあるリビングダイニング、食材がたくさん入る大きな冷蔵庫、もちろんバストイレは別だ。寝室として使っている部屋にシングルベッドしか置かれていないのが物足りなく感じるほど、この部屋は一人暮らしを始めるには十分すぎるほど良い環境だろう。シオン自身はもっとコンパクトな部屋で構わなかったのだが、一人娘のことが心配でたまらない両親が、こちらの意向を良い意味で無視してこの部屋を借りてくれたのである。
 この部屋、そしてこのマンションの気に入っている所は他にもあり、その最たるものが近くにコインパーキングがあることだ。もちろん車どころか免許すら持っていないシオンのためのものではない。ベランダに出てコインパーキングの方を見ると見慣れた、青のインプレッサがちょうど駐車しているところで思わず口元が緩んだ。
 数分もかからない距離だが、待っている時間というのはどうにも長く感じてしまう。何度も整えたはずの前髪をチェックし、部屋の状態は問題ないか見回していると、背後で来客を知らせるインターホンが鳴った。こみ上げる嬉しさを抑えきれないまま慌てて玄関に行きドアを開ける。そこにいた恋人と目があった時、とくりと心臓が跳ねたのを感じた。
「お邪魔します、シオン」
「ええ。いらっしゃい」
 浅黒い肌に綺麗な銀髪、服はカーディガンにジーンズといった出で立ちで、飾り気はないが彼にとてもよく似合っている。手にしている大きなレジ袋は膨らんでおり、たくさんの食材が入っているようでそちらにも心が躍った。
 今日はシオンの恋人、アルフェンが初めてシオンの部屋に訪れる日なのである。

「それにしても本当に広いな……」
 部屋に招き入れると、アルフェンは落ち着かなそうに部屋をきょろきょろと見渡しており座る様子がなかったためソファに案内した。二人並んで座れるこのソファはお気に入りの家具の一つだ。
「私もまだ慣れないわ。一人だと少し寂しいくらい」
 広い部屋は快適ではあるが、その大きさが余計に部屋の静けさを浮き上がらせ、自分の立てる物音以外何もないのだと改めて感じさせられる。一人暮らしにはこのような側面もあるのだと、引っ越してきて一週間で知った。
「引っ越し、手伝えなくて悪かったな」
「大丈夫よ。キサラとリンウェルが手伝ってくれたの」
「そうか。ならよかった」
「あなたはどうだったの? 大会だったのでしょう?」
「ああ、勝ったよ。次は五月初めだったかな」
 業者に荷物を運んでもらったのち、部屋の片づけを友人であるキサラとリンウェルに手伝ってもらったのだ。アルフェンはというものの、所属している剣道部の大会と丁度日程が被ってしまい、こちらに来ることができなかったのである。
 シオンもまた試合時のアルフェンの太刀筋を見ることが好きなため、応援に行くことができず残念に思っていたのだ。
「シオンは入りたい部活は決まっているのか?」
「そうね……。弓道部とかは気になっているわ」
「そうか。もし入ったら俺も応援に行くよ」
 お気に入りのソファに座り、つい話が弾んでしまったが、買ってきてもらった食材を冷蔵庫にしまわなければならないことを思い出し立ち上がる。入居当日から冷蔵庫の中は常にいっぱいだったが、こうして誰かと食べるのは初めてだ。
「ありがとうシオン。夕飯は一緒に作ろうか」
「ええ」
 冷蔵庫を開けたついでに作り置きしている麦茶を取り出し、続けてコップを二つ用意しようとしたところで足りないものがあったことに気が付く。
「ごめんなさい、あなたの分の箸がないわ。割り箸ならと思ったのだけれど、それもなくて……。スプーンでもいいかしら?」
「構わないが、実は俺も歯ブラシを持ってくるのを忘れたんだ。ついでに買ってくるよ」
「ありがとう。その、あなた用の箸も置いておきたいから、明日一緒に選びに行きましょう?」
 その言葉を言った後、急に恥ずかしくなり思わずうつむいた。まるでたくさん来て欲しいと言っているようではないか。そんなシオンに対し、アルフェンは抱きしめて額に口づけを落としてくれる。
「もちろんだ。じゃあ行ってくるよ」
「ええ。あとそれと……ゴム、買ってきてくれる?」
 必要なものをもう一つ忘れていた。アルフェンは少し遅れてやや戸惑い気味に返事をしたのち出かけて行った。

夏の話 ②

 もう少しで午前五時を回る頃、日中は人通りがあり賑わっているところも早朝となれば静けさが街を包む。肌に触れる風が気持ちいいと感じられる中、シオンはマンションの玄関でキャリーケースとショルダーバッグを手に空を見ていた。
 夜が明け始めた空を見る機会は今まであまりなく、世界を覆っていた紺色のベールが薄くなり、遠くの空から橙の光が姿を見せる様子はただ綺麗で、その景色に呑まれてしまいそうだった。非日常の始まりを感じながら大きく伸びをするとすっかり聞き馴染んだ車の音が聞こえてくる。アルフェンのものだ。
 早朝という事もあり周囲に気を使っていることはわかるのだが、それでも静かとは言い切れずシオンは苦笑してしまう。
 目の前にインプレッサが止まる。彼までほんの少しの距離だというのに、それすらも惜しくてシオンは駆け寄った。
 蝉の音すらまだ聞こえない朝一番の静かな世界。まるでこの世界に二人きりであるかのようだ。
 今、ひと夏の思い出が始まる。

 アルフェンの車の助手席はほぼシオン専用となっており、シートの倒れ具合もそこに置かれている小物も自分が使いやすいようになっている。高速道路に乗るとぐんとスピードが上がり、周りの景色がどんどん後ろへ流れていった。
「そういえばシオンは飯食ったか?」
「いいえ、食べていないわ。あなたは?」
「俺もまだだ。次のサービスエリアに寄ろうか」
 シオンにとって旅とは特別なものだった。両親が多忙であったため、幼少期から家族揃って出かけるということは少なく、ましてこのように車での遠出なんて滅多にないことだった。
 新幹線に揺られながら車窓の景色を見ることに不満があったわけではないが、どこか現実感はなかったと思う。もちろん両親が仕事の合間をぬって時間を作り、いつも寂しがらせてしまっている一人娘に楽しい思い出をプレゼントしようとしてくれていたのだ。良い思い出と言うべきなのだろう。
 しばらく車を走らせたのち到着したサービスエリアは、お盆を過ぎて旅行客が減ったとはいえ、それでも朝七時という時間を考えると人の数は多い方だろう。愛車を大事にするあまり駐車場では必ず後ろの、それも端の方に止めることが多いアルフェンだが今日もそれは変わらなかった。いつも悪いなと彼は言うものの、一回だってシオンが気にしたことなんてない。
 車から降りた時に感じたのは、透き通るような空がどこまでも高く続いているという事だった。肌を撫でる風に楽しげに話す人々の声、そして自分を見つめるシルバーグレイの瞳。
 それはすぐ近くにあるもので、確かに手に届くものだった。今だって手を伸ばせばきっとアルフェンはこの手を握り返してくれるだろう。けれどどうしてか一瞬の躊躇いが生まれ、伸ばそうとした手は固まってしまう。
「シオン? どうした?」
 その言葉で我に返る。不思議そうにこちらを見つめる瞳がシオンの奥深くの思いに気が付く前に速足に歩き始めた。
「なんでもないわ」
 自分の心に触れてくれる竜が傍にいるというのに、寂しがりな兎は怯えたまま動けないでいる。

R-18部分

 シオンの目の前には白と青のグラデーションで染められた縄が置かれていた。「拘束プレイが初めての方へ」と、丁寧に縛り方が書かれた説明書も同梱されており、それを見てシオンはごくりと喉を鳴らしていた。
 様々な縛り方があり、本当に多種多様な方法で使用することが可能であったが、アルフェンは最も簡単なものを選択した。自分は縄など使ったことのない初心者であるし、また浅い知識でシオンの身体を傷つける可能性がある行為はできない。
「じゃあ腕、合わせてくれるか? 痛かったら言うんだぞ」
 アルフェンの言葉にシオンは素直に従い背中側に腕を回す。手首はアルフェンより一回りも二回りも細かった。傷つけないように、けれどシオンにも縛られているという感覚を味わってもらえるように気を使う必要がある。
 シオンの腕を反対側の肘に触れられるようにして合わせる。タンスの中からいくつかのタオルを取り出し腕に巻き付け、ずれないように端をテープで止めた。これで直接縄がシオンの肌を擦ることはない。
 この時点では簡易的なものであり、拘束と呼べるのかは怪しい。けれど身に着けているのはショーツだけといった状況で、両腕の自由を奪われている。それがお互いの興奮をより強いものにさせた。
「これで今から縛るからな」
 シオンの前に置かれてた縄を手に取り、それを左右に引っ張るとシオンは少しばかりの恐怖と、それをはるかに上回る期待で瞳が濡れた。素材はよく使われる麻ではなく綿であり、ごっこ遊びの域を出ることはないだろう。けれど自由を奪って快楽を与えるには十分すぎるほどだ。
 セルリアンブルーの瞳は肩越しにアルフェンを見る。桜唇が躊躇いがちに開かれ、アルフェン、と小さく名を呼ぶ声が聞こえた。
「その……優しく、してね……?」
「―ああ」
 優しく、できるだろうか。抑え込んでいたはずの薄暗い欲望が顔をのぞかせる。こんな男につかまり、恥ずかしい格好をさせられる可哀想で可愛いシオン。
 たくさん、どろどろになるまで愛してやるからな。
 シオンの視界に入らない位置で縛ることになるため、余計な不安を与えないよう、そして拘束されているという状況を存分に味わってもらえるように、まず手のひらに縄を触れさせた。シオンは手を動かし、縄の感触や太さを確かめていく。
「じゃあ、縛るぞ」
 タオルでできた簡易的な拘束に本物の縄をかけていく。しゅるりと縄が結び目を通りきゅっと結ばれるたびに、シオンの口から小さく吐息が漏れた。
 縄は腕を縛っても余りあるほど長く床に垂れ下がっている。シオンの腕を縛り上げる青と白のグラデーション。ひどく煽情的だ。前で縛らなかったのは、シオンの身体を隠したくなかったからだ。
「できたぞ。痛くないか?」
 うつむいたままこくりとシオンは頷いた。柔らかな二つのふくらみの先端で、乳首がつんとはっている。それを指先で転がすようにいじると甘い声が漏れた。
「んっ……!」
「縛られただけでこんな風になったのか? シオンはえっちだな」
「や、言わないでぇ……」
 反抗するかのように身体を動かすが、縛られているせいでいつもと勝手が違い上手くいかない。そこでシオンは拘束されているとはどういう事なのか身をもって体感したようで、羞恥でいっぱいの顔をこちらに向ける。ぞくぞくと興奮が背をかけていった。
「動けないようにされて。これじゃあいっぱいいたずらされちゃうな?」
 背中側からくりくりと左右の乳首をいじりながら囁く。身体全体が性感帯と呼べるほど敏感なシオンだが、特に耳元で囁かれながら触れられるのが好きだ。その証として身体はぴくぴくと反応している。
「昨日は皆の前で凛と綺麗だったのに、今はこんなにえっちなんだもんな」
「だって、あなたの前、だから……!」
「そうだな。俺のせいだ。可愛いよ、シオン」
 起きて早々セックスをする。なんて淫らだろう。ほくそ笑みながら下着に手を入れると、茂みはじっとりと濡れており甘い香りが漂ってくる。
 指先で花芯をとんとんといじりながら首筋に舌を這わせた。シオンはアルフェンの腕の中で、ただ艶やかに身体を震わせることしかできない。